男は誰でも自分の工具を持っているものでして
少しづつ買い足してはその充実を図るのがこれ使命のひとつなのでございます
つるかめも例に漏れず自分の工具を持っておりますが
単車をいじる分、一般の方よりも充実した工具箱なんではないかなと思っております
つるかめの家族が時たまこの工具箱から工具を持ち出して使っているのですが
たまに戻し忘れるのであります
そこにあるはずのものがないとたちまちうろたえてしまうので勘弁していただきたいのです
つるかめが高校生の頃通っていた柔道場の先輩が
道具は元あった場所に元あった様に戻せ馬鹿 と口酸っぱく言っていたのを思い出します
その先輩は鬼人の様に柔道が強く、焼き魚が好きなのでいつも魚の匂いがしている人でした
休みになると早朝からつるかめを建築現場に連れて行き
見習いの様に扱って働かせ、お昼はどん兵衛大盛りと牛丼特盛りにビッグマックを持って来て
有無を言わさず食べさせるのでした
何度かお腹が千切れた様に思います
仕事が終わると飲み屋に連れて行かれ当然の様に酒を呑まされ
トイレに行っている間につるかめが大事に残しておいた餅入り巾着の中身を
黄色い煉り辛子と入れ替えられるなんて事もありました
純でウブなつるかめ少年はシクシク泣いて抗議したものであります
そんなろくでもない先輩でしたが
気付けばつるかめも当時の先輩の年齢を10も超え
先輩の教訓だけが身に残っています
たいへんに嫌いでしたがあなたは正しかった と
工具の整理をするたびにしみじみ思うつるかめなのでした