鼻毛を切り過ぎると花粉症が酷くなるので、入口付近の鼻毛だけをこまめに切るようにしているのですが
鼻毛は互いが互いを支えあって外に飛び出さないようになっているので
その辺りのバランスを考えずに切ると、箍の外れた鼻毛がわさわさと外に飛び出してまいります
今朝鼻毛をポチポチ切っていると、そのバランスの網から脱出した鼻毛が一本ぴよっと出て来ました
鼻の穴の相当奥地から生えているであろうに、一センチくらい飛び出していて
こんな奴が隠れていたのかと敵ながら天晴れに思いました
学生の頃、週の内4日くらい鼻毛を出している男がいて
言っていいものか随分迷った末に、これも人助けだと思って鼻毛出てるよと言いました
そうしたらその男「鼻毛が出てるんじゃない。鼻毛を出しているんだ」と言い放ち
平気な顔をして鼻毛をそよがせたのでした
なんて剛毅な男だろうと感じ入った僕は、それから彼の鼻毛を見るたびに「今日も出しているね」と声をかけ
彼が「そうかね」とか「そうだろうとも」とか応えるようになりました
ある日いつもと違って両方の鼻の穴から鼻毛が出ていて、僕が「今日は両方からなんだね」と言うと
そうだろう、どちらか一方抜いていいぜ と鼻を突きだしてきました
流石にびっくりしましたが、右の鼻毛をひと思いに抜いてやったのでした
抜いた鼻毛をどうしようかと困っている僕にティッシュを一枚くれた彼は少し涙目でした
男友達っていいなぁ と思った事を鼻毛を切っていて思い出したのでした